
まずは、会社の組織を通じて、大人としての責任と義務を果たせる人になってほしい。個人でやるのと、組織をつくってやるのとでは、責任の重大さが違っている。仕事を通して、より大きな責任を果たせる人間になってもらいたい。
次に、技術を磨き、技術を通して、社会の役に立つ人間になってほしい。技術は、良いほうにも悪いほうにも使うことができるが、技術を社会の役に立てることによって、自分も会社も、そして社会も良くなっていくのである。
更に、大きな視野を持って、人を幸せにする人間になってほしい。自分だけでなく、周りの人も一緒に成長させていく、そういうことのできる人になってもらいたい。
また、物事を行うにあたって、普通は、まず予測をたてる。失敗する人の第一は、予測をたてていない人であろう。予測もたてず、行き当たりばったりでは失敗するのだ。第二は、予測のたて方が甘い人である。このような人は日頃からいろいろなことに甘く、また自分にも甘い。常に甘い予測をたてて失敗するのである。私たちは常に厳しい予測をたてて、それを実行するようにしなければならない。それができる人は、上に立つことのできる人間であろう。甘い考えの人は上に立つことはできない。そういう人を上司に持った部下がかわいそうだ。なぜなら、実行するのは部下であるからである。そうならないためにも、厳しい予測の立てられる人間になっていただきたいのだ。そして、マネージャーと呼ばれる人は、まず自分自身を厳しく律して、あとから入社した人以上に伸びていってもらいたい。そうしなければ、当社の発展は難しいであろう。
仕事の上での一番の不幸は、対人関係がうまくいかないことである。訳の解らない上司についた者が、一番不幸なのだ。そういう上司は少なからずとも必ずいるから、それに出くわしたときは、さっさとその仕事を止めるべきだと思う。マネージャーには、部下をそんな状況から守る防波堤になってもらいたい。例えば、新入社員に対して、いじめや嫌みが言われるようなことが続くようでは、マネージャーの資格はない。もしこの様な場合に陥り、それをマネージャーが気づかぬようであれば、直接私に言ってもらいたい。
会社というものは、人と人とのつながりの中でやっていくわけであるから、できる限り風通しの良い会社にしたいと考えている。入社してきた者が「良い会社に入社したな」と思えるような会社になるよう、今年の新入社員も含めて、みんなで努力していきたいものである。